町田くんのボレロについて。
動画お借りしました。
ボレロ : 起源と魔力 に感じたこと
1.光
曙光(しょこう)・・・暗闇の中で見え始める最初の光
暁光(ぎょうこう)・・・暁の光。明け方の光
旭暉(きょっき)・・・朝日の光
2.三島由紀夫「奔馬 豊饒の海〈二〉」ラスト
『日の出には遠い。それまで待つことはできない。昇る日輪はなく、
けだかい松の樹陰もなく、かがやく海もない』
と勲は思った。
(中略)
正に刀を腹へ突き立てた瞬間、日輪は瞼の裏に赫奕と昇った。引用:三島由紀夫「奔馬 豊饒の海〈二〉」新潮文庫p.445
3.観客の物語への参加
舞台、バレエ、映画ならば観客は演者と正面から対峙するのみ。
結局は、観客にすぎない。
しかし、リンクの周囲を観客が囲むアイスショーでは、観客はただ観客
でいることは出来ず、自身も凍った湖のぐるりをとりまく
夜の森の住人となる。
4.モーリス・ベジャールのボレロ
ベジャールのボレロは真ん中の赤い円卓の上で一人踊るダンサーが
「メロディ」、ソロダンサーを囲む群舞が「リズム」。
私が抱くイメージは、地の底から上へうねうねと蛇のように伸びていく炎。
肉感。群。
対して、町田くんのボレロはもちろん氷。無機質にさえ感じられる硬質さ。
そして、あくまでも個。
たとえば、同じ生命を表すにも前者はより泥臭く、汗も匂いも感じられるが、
後者はDNA螺旋図。そんな感じ。
どちらも鍛え上げられた肉体が同じ音楽を表現していながらこれだけ対照的
であるのは、町田くんが確信犯的にそれを狙ったからではないかと、夢想。
5.三次元座標
町田くんのスケートは、音楽の稠密さを増すごとに徐々にスピードは速く、
描く円は大きくなっていく。
時にX軸を、時にy軸を移動し、音楽の高まりにシンクロして跳ぶジャンプは、
Z軸のプラス方向への志向を意味する。
ラスト、暗転とともに氷の割れた湖に崩れ落ちる体はZ軸のマイナス方向への
志向。

それが、奈落。
まさか、氷の舞台に「奈落」をつくってしまうとは。驚きました。

出典:Amazon
決定版作品集「そこに音楽がある限りーフィギュアスケーター・町田樹の軌跡ー」2019年10月4日発売予定
作品集が出る前に 的外れ感想をほざきました。10月4日に答え合わせ?